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遺言作成の準備と考え方~スムーズな遺言9ヶ条~

まずは、こちらから。

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 上記に当てはまる方は、遺言を作ることをお勧めします。

次に、タイトルにもあるスムーズな遺言9ヶ条を。

f:id:KOBE_TSUNAGARI:20210331111554j:plainでは、順にみていきましょう。

第1条:まずは推定相続人とあなたの財産の確認をすべし

何はさておき、まずは

あなたの推定相続人が誰なのかを把握する必要があります。

下記の8パターンの中にあなたは必ず当てはまります。

さあ、どこでしょう?

(各パターンの横に法定相続の割合も記載しています)

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当てはまったカ所の相続割合を確認して、それでよいと思う方、

あるいは、相続人で話し合って決めてくれたら良いと考える方は、

遺言は不要だと思います。

 

続いて、財産の確認です。

あなたの財産を把握しているのはあなただけまたは配偶者でしょう。

子どもや兄弟などがあなたの財産を把握している方は、ごく稀です。

今のから子どもなどに伝えておくことは、抵抗があるかと思います。

また、子どもから「預金いくらあるの?」「口座番号は?」って

聞かれたら言いたくないかもしれませんし、

ケンカになっちゃうかもしれません。

子どもも聞きにくいでしょう。だからこその遺言でもあります。

 

そして、重要なのはここです。

財産といっても、その額が重要ではなく、その種類が重要です。

あなたが亡くなって悲しみの中、相続が始まります。

その時に、預貯金がある銀行はどこ?保険は入っとったん?

株や投資信託は?不動産はあったっけ?まさか借金はないよね?

このような財産の種類が分からなければ、きちんと相続できません。

皆さんの中にはご自身が相続人として経験された方も多いでしょう。

大変じゃなかったですか?

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、

相続人全員の実印と印鑑証明、原戸籍などなど。

残された遺族は大変ですよね。

 

ましてや、銀行から

『あなたの口座がここにあるので、相続手続きをしてください』と

いうような連絡はありません。

そうすると、せっかく築いた財産が眠ってしまい、

そのままになってしまう可能性もあります。

ニュースにもなった『休眠口座』。あの要因の一つがこれですね。

 

この財産種別をきちんと書面で残す、伝えることが

相続を争続にしない予防策で、親族に迷惑をかけないひとつです。

 

第2条:遺言は公正証書遺言が安心

この部分は聞いたことがある方が多いと思います。

内容が明確・証拠力が高い・無効になる恐れがないなどです。

 

第3条:相続人の遺留分は考慮すべし

もしかしたら、あなたは子どもに一銭も相続させたくない、

全額を社会に還元したく遺贈(寄付)を考えているかもしれません。

しかし…、

法定相続人には法律上取得が保障されている相続財産があります。

その割合を遺留分と言います。

 

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つまり、遺言で全額を長男に相続させると書いたとしても

遺留分がある者、例えば長女が遺留分の請求をすれば保障されます。

もちろん、

子どもがあなたの意思を尊重して、遺留分の請求をしなければ

そのまま相続は完了する、あなたの遺言は実現します。

しかし、その時になってみないと分かりません。

 

では、遺留分を考慮せずに遺言を書くと、どうなるか?

(あくまで可能性です)

それこそ、相続が争続になります。揉めます。周りに迷惑を掛けます。

遺留分の請求は、

遺言執行者や財産をもらった人に対して内容証明で連絡が来ます。

そして、話し合いが行われます。

法定相続人も請求された人も、どちらも良い気分ではないですよね。

また、話し合いがまとまらなければ調停や訴訟になります。

そもそも揉めさすために遺言を書くわけではないですよね?

 

第4条:記載は具体的に、正確に、漏れをなくすべし

この部分は、自筆証書遺言の時の注意点のため今回は割愛します。

ここでは財産分配の考え方をお伝えします。

☆ ポイント!

いつ起こるか分からない遺言執行時期に対して、

財産がいくら残るか分からないのに金額を記載できない・・・。

⇒こんな悩みを解消!例えば・・・

『全財産の○%を~に相続させる。(遺贈する)』と

割合で表現するのも方法のひとつ。

 

第5条:遺言執行者の指定を忘れずに

僕は遺言を作るにあたって、ここが最も重要な部分のひとつです。

それは、遺言執行者の役割が大変だからです。

法定相続通りで良い、自分が亡くなった後は相続人で話し合って

分割してくれたら良いのであれば、遺言を書く必要はありません。

エンディングノートで十分です。

そうではないと考えているからこその遺言ですよね。

 

例えば、遺言を書きました。

そして、遺言執行者を相続人のうちの誰かを指定したとしましょう。

しかし、その執行者が財産を多くもらえる人、

または法定相続よりも少ない人だとしたら?

良い気はしませんよね?その本人も、他の相続人も。

話し合う時、顔を合わせる時…、気まずくなるかもしれません。

不仲になるかもしれません。

そして、手続きも大変です。

やはり遺言執行者は弁護士や司法書士など専門家をお勧めします。

自筆証書であっても、公正証書であってもです。

もちろん手数料、遺言執行料など費用はかかります。

でも、それはあなたの死後、遺産から差し引かれるので、

今かかるわけではありません。

(公正証書作成時などは、その時に当然に費用はかかります)

 

手続きの大変さ、あなたの意思が実現できる可能性、周りに負担を

掛けないこと、相続人が揉めないことなどを考えると、

餅は餅屋で、専門家に任せるのがベターだと思います。

第3者が入ることで、相続人も冷静になれることも期待できます。

 

第6条:予備的遺言を入れるべし

遺言に記載した相続人や受遺者が

あなたより先に亡くなってしまう可能性があります。

そうなると、その部分については無効となり、

受遺者が受ける予定だった財産は、法定相続人に帰属され、

法定相続人全員で方法を決めることになります。

そういう事態に備えて、予備的遺言を入れておきましょう。

そうすることにより、作り直す必要がなくなります。

最悪な状態は、予備的遺言を入れずに相続人が先に亡くなり、

作り直す時にあなたが既に判断能力を失っているかもしれません…。

文例 :

 私より先に、長男○○(昭和○年○月○日生)が死亡していた場合は、

 長女○○(昭和○年○月○日生)に、上記不動産を相続させる。

 

第7条:夫婦相互遺言をするべし

奥様の多くは自分の方が長生きするものとして、

ご主人の多くは自分の方が先に逝くものとして、

ご主人だけが遺言を作る場合が多いですが・・・、

特に子どものいないご夫婦は 夫婦共に遺言作成をお勧めします。

それが、夫婦相互遺言です。

 

(両親は既に他界していて)子どもがいない場合、

あなたの兄弟、もしくはその甥姪が推定相続人となります。

つまり、あなたの配偶者が全額を相続しないのです。

いやいや、うちの兄弟や甥姪が

『そんなん法定相続分をくれなんて言うてけえへんよ。』

『遺留分の権利もないんやし、話したら分かってくれるよ。』

って思うでしょう。

でも、そう言っていた会員様が亡くなり、

ご兄弟や甥姪と対面した時、(僕の心の言葉)

『○○さん!全然話がちゃうやん…。奥様が不安がってるよ。』って

場面を何回も経験してきました。

 

僕も自分の兄弟ならそんなことを言わないと思っています。

しかし、そこに保証はありません。

今は普通に生活していますが、その時も普通なのかは誰にもわかりません。

お金は人を変えます。たくさん見てきました。経験してきました。

 

僕には子どもがいませんので、僕は自筆証書遺言を書いています。

それは少しでも妻を安心させたい気持ちが一番だからです。

仲が良い兄弟、そんなん言ってこないと思う兄弟なら

そのような遺言を書いておいても、気を悪くすることはないと思います。

『そやな。兄貴も嫁さんのことを大事に思ってたんやな』って感じです。

 

そして、夫婦相互遺言の時も、予備的遺言を忘れずに!

どちらが先に逝くかはわかりません。

よって、自分より先に配偶者が亡くなっていた時に、

財産をどうするかを書いておくのです。

文例 :

 私より先に、妻○○(昭和○年○月○日生)が死亡していた場合は

 甥○○ ○○(昭和○○年○月○日生)に全額を相続させる。

 

第8条:不言事項を活用すべし

遺言とは、主に財産の処置を言い残すことで

財産分配の考えを伝え、それを法的に可能にする手段です。

しかし、なぜそのように(法定通りではないように)

考えたのかを伝えないと相続人にはわかりません。分からないと、

良いように解釈する方もいれば、悪く考える方もいるでしょう。

それが相続を争続にする原因のひとつだと思います。

『なんであの子に多く残すの?

 私だって、○○(あなた)の面倒を見てきたやん!』

こんな風にならないように、あなたの考えや気持ちを、

この不言事項で記すことをお勧めします。

人は感情の動物です。そして人の気持ちは分かりません。

あ・うんの呼吸、言わんでも分かるのは配偶者ぐらいではないでしょうか?

(僕は結婚して24年以上ですが、未だに妻の事が分かりません(苦笑))

 

不言事項を記すことによって、

あなたの考えや気持ちが伝わると、僕は信じています。

例えば、僕はこんな風に書いています。

『○○(弟とその子どもたち)へ

 ○○とはプロレスごっこでよく遊んだ、っていうよりいじめてたかな。

 大人になって、それぞれ家庭を持って頑張ってきたよな。

 お兄ちゃんも○○同様、△△(妻)を愛していて、

 △△のために全額を残したい。その気持ちを尊重してほしい。』

 

第9条:遺言の内容は言うべからず

これは、相続前に相続人や関係者との関係を壊さないためです。

事例を紹介します。

Aさんはご主人を亡くし子どもがおらず、

そのため保証人や他の色々なことを姪に頼っていました。

その都度、姪にお礼を渡していました。

姪はとても良くしてくれていたので、(他にも相続人がいるが)

姪に全額相続させると遺言を作りました。

そしてある日、そのことを姪に伝えました。

『おばちゃんが死んだら、あんたに全部あげる遺言を書いたから、

 これからもお願いね。』と。

  

それから、月日が流れ…

姪がお金を無心するように…、そして

『最後にくれるんやったら、今くれへん?』と。

お金は人を変えます。

姪の主人の仕事がうまくいかず、生活に不安が出ていたようでした。

 

以上、かなり長文になりましたが、お読みいただいてありがとうございます。

もう一度、ここでおさらいと最後に遺言作成手順を。

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